Modern Germany Violin ca.1900
Labeled “Andrea Postacchini”
販売価格1,296,000円(税込)

このヴァイオリンによる録音です。
N.Paganini / Cantabile for Violin and Guitar, Op.17

ラベルド?モダン?…オールドバイオリン?

”Labeled”とは

1900年前半のドイツ製とみられるヴァイオリンです。「みられる」というのは、この楽器には、イタリアの製作者のラベルが貼られているのですが、楽器のつくりその他から、そのラベルの示している製作者によるものではなく、1900年前半頃に作られたドイツ製と考えられる…ということです。古賀弦楽器にやってくるまでに貼られていたものなのですが、わざわざはがしてしまうことまではしてないということになります。
ちなみに、”Labeled~(~のラベルを貼られている)”という表現は、貼付の事実を一応伝えつつ、もっと言えば、逆に「~作の楽器とはいえません」ということでもあります。

モダンヴァイオリンとは

~1700年代を「オールド」と呼ぶのに対し、それ以降~1945年頃の楽器を「モダン」と分類しています。広い意味で、100年程度の古い楽器でも「オールド」と言ってしまうこともできますが、専門店ではあまりそのようには表現していません。新しい楽器ではないということだけを伝えたければ「古い楽器」と言います。

作り・音の特徴

ニスが特徴的です。全体に光沢のある透明なニス層があります。これはオリジナルのものではなく、やはり後年、楽器商の手を渡る間に塗られたものとみられます。美観のために行われたとみられるもので、このようなニスの使い方はその是非が問われることはありますが、その問題点としては、楽器の健康を損なうというところにあるわけではなく、主に「作品」としてのオリジナリティを損なうということにあり、この楽器の場合、Labeledということで、オリジナリティはいまや重大な問題にはなっていませんし、結果としては素敵な美観を得ていてそれはいいことなのではないかなと思います。ただ、もう一点付け加えるならば、ニスが厚くなることにより音響性能に影響を与える可能性はあります。ですが、音源でお伝えできているかどうかはわかりませんが、一般にニスが厚くなって響きが詰まってしまうかと思われるところ、丁度良い音色に落ち着けているように思います。ニスが薄かったらもっとキリキリしてしまっていたのではないかな、と。
その他、やや弦の長さが長い作りになっています。駒の位置だけでなく、ネックがやや長い作りとなっています。また、そのネックですが、非常に細いです。都合、特に、ローポジションの押さえるべき位置が一般的な弦長の楽器の位置とはやや奥に変わり、また弦と弦の間隔も非常に狭くなっています。これらの点は、運指や重音の取り方に慣れが必要になるかもしれません、が、特にネックの細さについては奏者によっては弾きやすさにつながるかもしれません。例えば、五度の重音の強い押さえ込み、あるいは五度のなめらかな移弦において、弦の間隔が狭いので指先の細い方でも無理なく可能になるかもしれません。
ネックを短く太く作り替えることもできますが、できれば、このくらいの「オリジナリティ」は残してあげたいところです。

ご試奏に際して

楽器の製作者やメーカーが明確には規定できない楽器のため、楽器のつくりや推定製作年代、状態、実際の音響性能をもとに、古賀弦楽器が責任をもって適切と考える価格をつけています。
ラベル等のことからもわかるようにオリジナリティ・真贋といった部分からは距離を置いている楽器ですので、お客様におかれましては、この楽器の個性と音響性能が価格に見合うものかというところをご判断いただければと思います。
ぜひ、ご試奏ご予約ください!